プラスチック製品のリサイクル法

ケミカルリサイクル

分解してから再加工するのがケミカルリサイクルです。

化学的に分解してから再利用するケミカルリサイクルはちょっと高度な方法で、 ゴミ処分場にさほど興味のない人にとっては未知の領域かもしれません。 捨てられたプラスチック製品を化学原料にするこの方法では、廃プラをモノマー化 したり高炉原料化したり、コークス炉化学原料化することで再利用しています。 モノマーとはプラスチックの原材料である石油からプラスチックになるまでの 途中の姿で、いうなれば若返らせたような感じでしょうか。 子供がランドセルを背負って小学校に入学して6年後に卒業し、それから何年か いろいろと勉強をしたり体を鍛えたりを繰り返して就職したのがプラスチック製品 誕生の瞬間だとしたら、定年退職は廃品として処分場にやってくる時になると 言ったらちょっと失礼かもしれませんが、たとえ話ですしおおらかな心で許して もらえないでしょうか。 その退職後のプラ製品をもう一度小学生からやりなおさせるのがモノマー化で、 過去にどんな教育を受けて習い事をして部活動に勤しんだかをリセットして、 もう一度最初から製品つくりをすることができるのがこの方法になります。 しかも回数制限はなく、何度でも繰り返すことも可能なためとっても素晴らしいと 何人もの方が絶賛しているそうです。 プラ製品の代表格として君臨するペットボトルは使用後には匂いが染み付いて しまい、そのまま使いまわすことも出来ませんしマテリアルリサイクルで欠片に したところで完璧に過去の生き方を洗い流すことは不可能です。 お醤油の入っていたプラスチックの容器は洗剤で洗っても完全に臭いを消すことが できないことは実験すればわかることで、酢やソースも同じくです。 ほんの僅かでも醤油の臭いが残っていたら、それをお茶の容器にすることは商品 を製造するメーカーは絶対に嫌がりますし買うほうだって嫌でしょう。 ですがモノマー化ならその問題も解決してくれるので、ペットボトルから再び ペットボトルを生産するのには欠かせない技術になっています。 次に高炉原料化ですが、製鉄する高炉で還元剤としての利用がそれです。 製鉄所で燃料として使われるコークスの役目は高炉の中を熱くすることと、 酸化鉄を還元することにあります。 酸化鉄から酸素を除去する目的が与えられているコークスにかわって酸素を吸収 するのが、この場合の廃プラの役割になります。 その仕組みは上級者でなければ理解しづらいのでおおまかに解説しますが、 プラスチックは水素と炭素が含まれているので化学反応で酸素を奪い取ることが できるという話ですが、化学好きでなければついてこれないでしょうし無理に 覚えなくてもいい部分かと思われます。 とにかく製鉄所で還元剤として再利用されるケースもある、とだけ把握しておけば 充分ですし、それ以上掘り下げる必要もないでしょう。 最後にコークス炉化学原料化ですが、これは先ほど話に出てきたコークスや コークス炉ガス、炭化水素油をプラスチックから製造する技です。 コークスは石炭を蒸し焼きにして製造するアイテムですが、実はプラからも生産 することができるので作ってしまおうという技術がこれです。 同時に炭化水素油とコークス炉ガスも製造でき、炭化水素油は化学原料として 利用されるので重宝され、コークス炉ガスも燃料としての利用が可能です。 このようにケミカルリサイクルでは再びプラ製品として再利用される部分は少量 ですが、化学の力によりいろいろなことにリサイクルされています。 エネルギーであったり還元剤であったりあまり目立たない地味な活躍ですが、 その効果がエコロジーであることには間違いありません。 目に見えるリサイクルが全てではなく、こうしたことも地球の環境を考えると これからも発展して欲しいと願うばかりです。